意外に思うかもしれませんが、臓器コーディネーターという仕事も、看護師資格や看護師としての経験を十分に生かすことのできる、看護現場以外の職場です。
臓器移植コーディネーターの主な仕事は、臓器提供者(ドナー)が現れると、その臓器を必要とする患者(レシピエント)の元を訪ねて医師確認や家族への説明、移植を担当する医療チームとの調整を行う仕事です。
このため、臓器移植コーディネーターになるためには4年制大学卒業者か医師や看護師、薬剤師などの利用従事者の資格を保有する人に限られます。患者や患者の家族のケア、医療チームとの折衝といった仕事を問題なくこなすためには、看護師としての知識と経験が十分に生かされます。また、臓器を提供する側に立った場合でも、ドナーとその家族に対するケアは最重要の仕事です。これについても、看護師としての経験が行かされるのは言うまでもありません。
臓器移植コーディネーターは、ドナー側のコーディネーターとレシピエント側のコーディネーターが存在し、どちらのコーディネーターになるかでその職掌は大きく変わってきます。
ドナー側のコーディネーターの主な仕事は、移植を希望するレシピエントの登録とそのデータの管理、ドナー情報の収集、ドナー側の家族と医療期間への対応、臓器摘出を行うチームの編成や調整、摘出された臓器の搬送、移植後の書類作成、ドナー家族へのケアとなります。
レシピエント側のコーディネーターの主な仕事は、レシピエントのカウンセリングや登録、移植待機期間の患者のケア、移植手術の手配、レシピエントの退院後のケアや指導です。
こうして並べてみると、一般にコーディネーターの仕事として認識される仕事以外にも、看護現場のような仕事も同じ程度にあるという事が分ると思います。さらに、1件の移植手術に際し、ドナー側のコーディネーターとレシピエント側のコーディネーターがそれぞれ存在する事が分ると思います。そのため、実際の移植に向けて、両コーディネーターの密接なやりとりが必要になるのは明らかです。両者が緊密な連携をしなければ、臓器移植は失敗してしまうのです。
医療現場で働いた知識と経験に加えて、コーディネーターとしての事務的な作業やコーディネーター間の連携、自分サイドの医療チームとの連携など、幅広い能力が必要な仕事になります。それだけに、やり遂げた時の充実感も大きな仕事であると言えるでしょう。